電源系
電源系の役目は太陽電池による発電で電力を発生し蓄え、
各サブシステムへ安定して電力を供給することである。
そのためのシステム構成検討、電力設計、搭載機器の選定を行う。
電源系システム構成
電源系システムの構成概念は以下の図のようになる。
搭載電池
日陰時に衛星に電力を供給するための機器。
電池には民生品のMn系Liion2次電池を使用。
基礎的な環境試験を行い宇宙での使用に耐えることを
確認する。
太陽電池
日照時に機器に電力を供給しつつ電池に充電を行う。
電力収支が取れるように衛星表面6面に張り付ける
単結晶シリコン太陽電池の使用を検討。
レギュレーター
各機器の必要とする電圧の電力を供給する。変換効率80%が目標。
充電回路
日照時に太陽電池による発電を電池に蓄える際の制御を行う。
充電効率の目標80%。
姿勢制御機構
この他に電源系は磁気を利用した姿勢制御を担当する。
XI-I,XI-II,XI-III
XI-I,XI-IIについてはこちら
XI-IIIについてはこちら
XI-IV
システム構成
FM(フライトモデル)XI-IVのシステム構成はEM(エンジニアリングモデル)XI-IIIを受け継いでいる。
出来上がった電源系基板は下の写真のようになっている.
電源系基板の有する機能は
- 各系に5Vの電力を供給する。
- 電子系と通信系が相互にDCDCの前で消費電流を計測しSELを検出したらリセットをかける
- 太陽電池による発電、駆動、充電が可能
要素技術
太陽電池
太陽電池はCubeSatの表面6面に搭載される。単結晶シリコンセルを使用し、平均1050mW(@80℃)の
発電量を見込んでいる。
納品されたFM用太陽電池は以下の通りである。
この太陽電池を下図の様に太陽電池取り付け板に接着する。
さらにこの板がCubeSat構体に取り付けられる。
Liion電池
電池にはLiion2次電池を使用。特徴は以下の通りである。
- マンガン系Liion2次電池
- 容量780mAhr,8並列搭載
- DoD 3%
- 電池のみで40時間CubeSatを駆動することが可能
CubeSatの最終充電から打ち上げまで10ヶ月間になりうるため、電池残量0の状態で起動する可能性がある。
そのため、起動直後に電池残量を参照し通常運用モードか電力回復を優先にしたハイバネーションモードを
選択する。
極低温下で電池残量0から通常運用までの回復を確認。
充電回路
充電制御ICにMITSUMI社MM1485を使用。
機能は
- 定電圧、定電流充電
- バッテリー状態チェックのための予備充電機能
を有する。充電時の挙動を下の図に示す.
レギュレーター
スイッチングレギュレーター:
電子系、通信系にはドライバ回路にリニアテクノロジーLT1701を用いたスイッチングレギュレーターを使用。
S/Rの出力を電圧安定化回路でリップルを取り除く。
DCDCコンバーター:
FM送信機にはDCDCコンバーターを使用して5Vを供給する。
電力設計
電力設計は以下の3点を満たすように設計されている
- 全体の収支が取れている。
- バッテリーのみでファーストコンタクトまでは生き残る
- 太陽電池のみでCWの駆動が可能
1点目の収支が取れているとは、日陰時に消費した電力分を日照時に回復させることで
十分長い期間の運用を可能にするということである。
2点目は打ち上げの衝撃等で太陽電池が全損しても内蔵電源で地上局とのコンタクトを
可能にするための条件である。
3点目のCWの駆動については、電力収支が取れなかった場合や電池が破損した場合でも、
日照時には太陽電池で最低限度の動作を保障するということである。
通常運用時の電力プロファイルを図に示す。
姿勢制御系
CubeSatの姿勢制御を行う。その目的は
- 発生電力の安定化
- 熱入力の平均化
- アンテナを地上局の方向へ向ける
である。
姿勢制御の手段としては、永久磁石による沿磁力線制御を行う。
磁石には地磁気の磁力線に沿うようにトルクが働くことを利用して受動的に姿勢を制御する。
また、秤動を止めて姿勢を安定させるために、ヒステリシスダンパーを搭載する。
このダンパーは、部材が磁場中で姿勢を変動させることで発生する渦電流損とヒステリシス損
によりエネルギーを散逸させる機構である。
それぞれのコンポーネントは以下の特性を持つ。
| 永久磁石 | ヒステリシスダンパー |
| 材質 | アルニコ5 | 50%パーマロイ |
| 寸法 | φ4mm*25mm | φ8mm*0.3mm |
| 重量 | 2g | 10g |
検討項目
残す検討項目は
- 最終的な電気的性能の計測
- 打ち上げまでのメンテナンス
- シップメント後の取り扱い
について検討する。