

Nano-JASMINEは外寸が50.8×50.8×51.2cmで,重量は約35kgの超小型人工衛星です.太陽同期軌道と呼ばれる特殊な軌道に投入され,地球を周回しながら望遠鏡を宇宙に向けて観測します.衛星側面に2か所の望遠鏡開口部があり,ここから99.5度異なる方向の星からの光を1つのCCDに取り込みます.
過去に人工衛星での位置天文観測を行ったヒッパルコス衛星と比較すると,重量は30分の1以下で,サイズも非常に小さくなっています.CCDや民生半導体部品の目覚ましい進歩やシミュレーション計算能力の向上などがこのような小型化を可能としています.それでも,必要な精度を達成し,ヒッパルコス衛星が作成した星カタログを更新するためにはこれまでの超小型衛星に無いほどの精密な制御が必要となります.
Nano-JAMSINEはTDIという手法で星の画像を取得します.CCDが電荷を運ぶスピードと衛星自身のスピン速度を正確に一致させる必要があり,衛星は毎秒0.0000007ラジアンの細かさで回転速度を制御する必要があります.0.0000007ラジアンとは,東京から富士山上の3センチの物体を見る角度に相当します.また,2つの方向からの光を同一方向に反射するビーム混合鏡という鏡を搭載しているのですが,この鏡の変形を1ミリ秒角(0.00000000028°)以内に抑える必要があり,そのために鏡の温度変化を軌道上で0.001℃以内に抑える必要があります.地球の夜と昼の上空を繰り返し通過することや,大型の観測衛星に搭載されるような液体冷却燃料を搭載できるスペースが無いNano-JASMINEにとって,これだけの温度安定を達成することは容易ではありません.
このような要求を達成するために,衛星の各サブシステムでは様々な工夫が施されています.詳細は各サブシステムの項をご覧下さい.
| 衛星システム | 外寸 | 508×508×512mm |
| 重量 | 約35kg | |
| 軌道 | 太陽同期軌道 | |
| 望遠鏡 | 口径 | 5cm |
| 焦点距離 | 1.67m | |
| 視野角 | 0.5°×0.5° | 検出器 | 1000×1000px | ピクセルサイズ | 15μm |
| 観測精度 | 測定精度(σ) | 13.5mas/1回 |
| グループ精度(σ/√N) | 3.6mas | |
| 達成精度(σ/√(N×g×T)) | 1.8mas | Saturate(ms) | 3.5mag | 基準等級(m) | 7.5mag |
| 姿勢制御 | 姿勢決定精度 | 0.05° |
| 姿勢安定度 | 720mas@8秒 | |
| ビーム混合鏡相対角 | 1mas@2時間 | 衛星に対するスピン軸アライメント | 0.05° |