衛星プロジェクト

研究室として以下のような衛星の設計・開発・運用実績を有しています.

ISSL OSS Project

ISSL OSS (Open-Source Software)プロジェクトとは、人工衛星の研究・開発に必要な各種ソフトウェアをオープンソース化し、宇宙開発の発展に貢献することを目指したプロジェクトです。現在、主に次の3つのソフトウェアをGitHubに公開しています。

  • 宇宙機搭載ソフトウェアC2A (Command Centric Architecture)
  • 宇宙機シミュレータ S2E (Spacecraft Simulation Environment)
  • 地上局ソフトウェア WINGS (Web-based Interface Ground-station Software)

それぞれの詳細については、GitHubページをご参照ください。

ISSL 6U

研究室で過去に開発したキューブサットや50kg級衛星の知見を統合し、多様なミッションに活用できる汎用的で高性能な6Uバスの開発を行うプロジェクトです。ISSL6Uの標準バスを用いて、下記二つの6U衛星の開発・運用を行っています。 単にこれらミッションに沿った衛星開発を行うだけでなく、将来を見据えたツール開発、ソフトウェア開発、汎用ユニット/ バス開発を統合的に実施します。

ONGLAISAT

TASA (台湾国家宇宙センター) と共同開発している6U衛星です。TASAが開発する望遠鏡と、ISSLが開発する6Uバスを組み合わせ、ミッションとして TDI (Time Delay Integration) 技術を用いた高SN比の画像撮影を目指します。2023年現在、フライトモデルの開発を進めています。

SPHERE-1 EYE (2023)

ソニーグループ株式会社、JAXA、東京大学の共同プロジェクトである STAR SPHERE の中で打ち上げた6U衛星です。ソニーがミッションカメラの開発を、ISSLがバス部の開発を担当しました。2023年1月3日に打ち上げられ、現在運用中です。運用の詳細は公式Xアカウントにて配信しています。

EQUULEUS (2022)

EQUULEUSの主ミッションは、太陽―地球―月圏における軌道制御技術の実証です。太陽や月の重力を利用することにより、リソース制約の厳しいCubeSatでも実現可能な軌道変換能力で地球―月系のラグランジュ点(地球から見て月の裏側のL2点。以下、EML2)へ効率的に航行することを目指します。2022年11月16日にNASAの新型ロケットSLSによって打ち上げられました。EQUULEUS の運用の詳細は公式Xアカウントにて配信しています。

EQUULEUSは3つの科学観測ミッション機器を搭載しています。1つめは、地球の磁気圏プラズマの全体像を地球から離れた距離から極端紫外光で撮像するミッションで、PHOENIX(Plasmaspheric Helium ion Observation by Enhanced New Imager in eXtreme ultraviolet)という観測機器で観測します。2つめの科学観測ミッションは、月の裏面における月面衝突閃光の観測です。高速で月面に衝突する小隕石の発する一瞬の光を高速カメラで検知することによって、月面に降ってくる小隕石のサイズや頻度を評価でき、将来の月面上の有人活動やインフラに対する脅威を評価します。このミッションは、DELPHINUS(DEtection camera for Lunar impact PHenomena IN 6U Spacecraft)という観測機器で行います。3つめの科学観測ミッションは、シス・ルナ空間(地球から月軌道周辺までの空間)におけるダスト環境の評価です。CLOTH(Cis-Lunar Object detector within THermal insulation)と命名した科学観測機器と衛星バス機器を統合した「ダスト計測器」を用いて計測を行います。

PROCYON (2014)

PROCYON(プロキオン)は,2014年12月3日に,小惑星探査機はやぶさ2と相乗りで打ち上げられた超小型深宇宙探査機です.東京大学の当研究室を中心に,宇宙科学研究所(ISAS)や全国の大学と共同で開発されました. PROCYONのメインミッションは,50㎏級超小型深宇宙探査機バス技術の実証(地球から離れた深宇宙で,超小型でも電源・通信・姿勢や軌道の制御など探査機として必要な技術が機能することの実証)です.さらに発展的なミッションとして,世界最高効率のX帯通信用アンプの実証,高精度軌道決定実験,深宇宙空間からのジオコロナ観測,小惑星に対する超近接フライバイ撮像技術の実証を行います.

Nano-JASMINE

Nano-JASMINEは,銀河系内の星の精密な地図をつくることを目的とした,日本で初めての位置天文観測衛星です. 高い精度の姿勢制御を行う衛星バスシステム部を中須賀研究室が,望遠鏡部分を国立天文台JASMINE検討室が開発しています. 現在打ち上げ待機中です。

PRISM (2009)

PRISM(愛称:ひとみ)は,柔らかい進展ブームを宇宙で展開し,分解能30mの地球画像を撮影するリモートセンシング衛星です. 2009年1月23日にH-2Aロケットで他の相乗り衛星とともに打ち上げられ,ブームの展開とメインカメラでの撮影に成功しました。