研究

当研究室では、いくつかの研究グループ (RG) に分かれて、多様な分野での研究を行っています.

Formation Flight & GNSS Research Group

  • FF & GNSS RGはFormation FlyingとGlobal Navigation Satellite Systemに関する研究を行うグループです。
  • FFは、複数の衛星を協調制御することで、サイズ制約などを克服し単機の衛星では達成できない新しい宇宙ミッションを実現する技術です。本グループでは特に高精度FF、超多数機FFというものに注目して研究を進めています。また、超小型衛星を用いた実際のFFミッションを実現するため、新規ミッション提案などを行っています。
  • GNSSは測位システムとして地上でも多くのユーザーに使われています。本グループでは、その高精度化・高機能化のため、GNSS衛星自身の高精度軌道決定、新たなGNSSシステムの研究を行っています。また、GNSSをFFなど高度な宇宙ミッションに活用するための研究を行っています。

Systems Engineering & AI Research Group

SE/AI研究グループは、システムズエンジニアリング(Systems Engineering)と人工知能(Artificial Intelligence)とそれらの宇宙開発への応用に関する研究を行うグループです。システムズエンジニアリングとは、“工学システムの実現・利用・退役を成功させるための学際的かつ統合的なアプローチ”(INCOSE)と定義されています。具体的には衛星を一つのシステムとして捉えてその機能がどのように実現されているかを分析したり、逆に衛星に対する機能要求を分析・分解しそれを達成するためのシステムを効率よく設計・開発・試験・運用するための手法を検討しています。一方人工知能の分野では、深層学習や強化学習、回帰分析などの機械学習手法を用いて宇宙機の軌道設計やオンボードでの自律化などを目指す研究を行っています。

衛星コンポーネント間の接続を示すダイアグラム
Digital Twin
地球-月間光通信システム

Orbit Research Group

  • Orbit RGは軌道・軌道決定に関係する研究を全般的に扱うグループです。
  • 軌道はある天体に宇宙機が遷移するような場合、いかに少燃料、あるいは短時間で目的地に遷移・到達できるかという点で重要となります。または、ある天体を宇宙機が周回するような軌道では必要な燃料やそのミッション観測のパフォーマンス、さらには衛星システムへまで影響が及び、あるミッションを計画する上での第一歩となるのが軌道です。
  • 本グループでは超小型衛星のシステムのリソース制約などある現実的な制約下で、燃料・時間・科学観測等の観点で最適な軌道であったり、制御・ダイナミクス等の誤差に対してロバストな軌道設計方法などについて研究を進めています。
  • 軌道決定は宇宙を航行する宇宙機の位置を主に電波による地上-衛星間の距離・速度情報を用いて決定する事であり、地上局のアンテナを宇宙機に向けて情報のやりとりには必要不可欠な要素です。特に深宇宙のような地球から遠く離れた宇宙機と電波を用いた軌道決定は数に限りある大型アンテナを用いてある程度の時間・コストをかけて行う必要があります。一方で、近年の超小型衛星の発展などから深宇宙探査ミッション数の増大が容易に予想され、大型アンテナの需要と供給のバランスが崩れる事が懸念されます。
  • 本研究グループでは電波情報だけではなく光学情報などにも着目したり、従来は切り離されて考えられていた軌道設計と軌道決定を統合して考えたりする事でいかに地上局依存度を減らせるかという観点で研究を進めています。
(Kawabata, 宇科連2021)
(Yamamoto, JSASS2021)
状態遷移テンソルを用いた確率軌道最適化
(Fujiwara, IEEE AeroConf 2022)
各種軌道設計

Optical Communication Research Group

  • 光通信RGは宇宙光通信技術を超小型宇宙機(衛星/探査機)へ適用するための技術課題に関する研究・開発を行っているグループです
  • 従来の衛星通信は電波を用いるものが主流ですが,電波よりも波長が短く,周波数の高い光を通信に用いることによって,通信アンテナ小型化と通信容量向上の両立が期待できるため,各国で宇宙光通信の研究開発が盛んに行われています
  • 本グループでは特に,100kg以下のサイズの超小型宇宙機へ光通信を適用することを目標に,指向制御・構造・光学など光通信機搭載超小型宇宙機の実現に向けた様々な分野の技術課題に取り組んでいます
  • また,超小型光通信衛星群を用いたネットワークにおけるルーティング手法など,超小型光通信衛星を将来どの様に活用するかという点に関わる課題ついても同時に研究・開発を行っています
  • 以上の研究・開発活動は,学外企業/組織と連携して実施している複数の実プロジェクトと密接に結びついています